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2015年5月5日火曜日

イノベーションを意図的に創り出すための「デザイン思考」

柏野尊徳氏の「デザイン思考のポケット・ガイド」を読みながら。

「デザイン」が意味するのは、「現状をより良い状態に変えること」であると冒頭に書かれていて、今、デザインというものは有形無形のものへ対象を大幅に拡大しているといいます。

アイデアは必要ですが、形にできなければ意味が無い。そこで「デザイン」の登場であると。「問題解決」や、「新たな活動」にはデザインの手法が有用であるとしています。

「デザイン思考」は、イノベーション技法であり、イノベーションとは、「創造的な方法で社会に新たな価値を提供すること」と一言で簡潔に述べられています。イノベーションとは何かについてあれこれと考えていた自分にとっては、まさに簡潔かつ的確であると思います。

デザイン思考は、5つのステップがあるとしています。

1 深いニーズを知る
 本質的な欲求が何なのかを知るために、かなりしっかり調べましょう、ということ。
 凡庸な中小企業なんかにいる人にはよくわかると思いますが、実際のビジネスの現場では非常に軽視されがちな点ですね。

2 問題点とゴールを決める
 ニーズの、どの部分を解決するのかを明確に定めて、何をすればそれが解決するのか、その因果関係がちゃんとしているゴールを設定しましょうということ。
 教育水準を高めたい、というニーズがあったとして、奨学金を出しましょう、では因果関係がちゃんとしていないと。教育水準が低い地域には能力の高い教師が行きたがらない、という部分を掴んだ上で、どの対策が適切なのかを考えられないといけない。難しいような感じがしますが、ここが大事だという認識が薄い場合に、どれだけここで粘れるか?

3 アイデアを生み出す
 アイデアは、たくさん作らないといけない。いつもと違うものを出さないといけない。
 ディズニーは、「空想部屋」「整理部屋」「批評部屋」の3つを用意してアイデアを創造した。
 アイデアを作ることと評価することを同時にやろうとすると混乱し、失敗する。

4 アイデアを形にする
 いつまでもアイデアをつくることばかりしていては、何もわからない。アイデアは形になるまではその価値はわからない。試しに作ってみることが必要。
 形にすることで、共感が高まることと、よりよいアイデアを得られるというメリットがある。
 確かめたい部分だけに絞った試作をすることで、素早く回せる。どんどんチャレンジして失敗しよう。

5 アイデアを評価する
 1 再現性を検証、2 感情的な視点から、納得感や重要性を検証
 再現性が低い場合は、使いやすいか、わかりやすいかを再度考える。
 納得感が低い場合は、メリットの明確さ、伝わっているかどうかを考える。
 予想外の使用法や、予想外の発言を受け入れて、期待する結果・答えを誘導しないように注意する



内容は以上です。

世の中に氾濫しているのは、何をしたいか、何を用いてするのか、どのようにするのか、という過程をすっ飛ばして、とりあえずやってみて何回かうまく行った人たちが偉そうにして、それ以外の人たちはとりあえずやってみることをとにかく繰り返す。もしくは諦めるというようなことだと思います。

しかも、評価・検証の過程もすっ飛ばしているので、うまく行った人たちはなぜうまく行ったのかわからずに、そのうち失敗して、うまく行かなかった人たちはなぜうまく行かなかったのかわからずに、運が悪かったとか努力が足りなかったとして次に行ってドツボにはまるという。

思いついたアイデアにしがみついたり、失敗しつつある行動を続けたりするのは、情報量が足りていない、思考が足りていない、ということ。準備と反省の過程を、実際の生産性があるものではないとして軽視するような経営者は、現場での感覚で行動が修正できなくなった瞬間から、ある意味失敗することが明らかなのだろうと思います。

もし、何年か経営者をやって、最近やる事なす事うまくいかない、というような状況があるのであれば、こうしたデザイン思考のようなものを受け入れて厳密にやってみるか、正直難しいのであれば、とりあえず現場に戻るしかないんじゃないでしょうか。


2015年5月1日金曜日

2006年第一次安倍内閣の「イノベーション25」の亡霊

もう当時の安部首相が所信表明演説で「イノベーション25」を謳ってから9年、実際に基本戦略が取りまとめられてからも8年が経つことになります。私はそんなことはつい先週まで知らずに過ごしてきたわけではありますが。

内閣府 イノベーション25
http://www.cao.go.jp/innovation/

その後政権交代があったりといろいろとバタバタしていたんでしょう。しかし、この急ごしらえの基本方針から派生して、今でも「イノベーション」に対するやたらめったらな公共投資、あるいは「公共投機」とでも呼べば良いのでしょうか、いろいろな政策が繰り出されている昨今なわけです。

きっとそれはそれで、そんなに悪い結果にはならないんじゃないかなあ、とは思うんですが、ちょっと視点がズレたまま進んでいるんだろうなあ、と思うわけです。

ドイツの2006年からのハイテク戦略と対比した下の記事が、正しいかどうかはともかくとして切れ味鋭く参考になります。2007年に書かれているので、その点は踏まえた上で読むべきではありますが。

「イノベーション25」:戦略性と危機感の欠如はどこからくるのか? 
~「ドイツ・ハイテク戦略」との対比 ~

http://www.jri.co.jp/page.jsp?id=6471

要は、日本では、イノベーションが起きたらいろいろ便利になったりしていいよね、ということですが、
ドイツの場合は、価値を生み出すのはイノベーションしかないんだという本質を突いていると。

社会問題の解決のためのドラえもんのポケットみたいなものをイノベーションに求めようとしているのか、それとも、継続的なイノベーションというシステム自体を社会に組み込もうと考えるのか。「イノベーション25」の発想からは、新しい世界へはたどり着けないという感じがしていて、未だにこの亡霊に取り憑かれているのだとすればそれは勿体無くて残念なことだなあ、と思うのです。

基本的に政府のやるべきことは、イノベーションをしようとする企業や団体あるいは個人に対して、どうやって優遇するのかという条件の整備をどうするかが9割だと思うんですよね。資金面と税制面、あとは分野によってきめ細かくやるべきなのは研究設備や投資家との橋渡しや交流の場とかマネタイズの仕組みの部分でのフォローとかそんなのが求められてるんじゃないのかなと思うわけで、政府が描く未来像を実現するための手段を考えているのなら、そんなものは要らん、というのが正直なところでしょう。

ここから始まっている色々な政府の取り組みを利用するのは、予算の確保という面でよく理解しなければいけませんが、一方で政府自体がイノベーションに関する政策をどうすべきか、ということも考えながら活動しないといけないという現状でしょうね。


2015年4月26日日曜日

イノベーションって何なのかを明快に説明できるか?

大学で、観光におけるイノベーションについて公共レベルとビジネスレベルも含めて学んでいくことになったんですが、イノベーションって何なのかと中学生にもわかりやすいような形で明快に説明できるか、という話があって、結局出来なかったんですね。

で、一方で日経新聞さんの講義で、日経新聞は難しいと思われがちだけど、昔から記者は、中学生にもわかるように書けと常々教えられながら育ったという話がありまして。

やっぱり、わかりやすく明快に、誰にでもわかるように説明するというのは高い理解と鍛錬が必要であり、ジェネラルスキルとしてはとても大事だよなあ、と改めて思った次第です。

そんな中で、教授からも、わかりやすい説明のフレームワークを少し教えてもらったので、改めてイノベーションとは何かの説明に挑んでみたいと思います。大した話じゃないんですが。

・イノベーションとは何か一言で
イノベーションとは、従来とは異なる方法で、「価値」を生み出す、その方法を見つけること、または適用することである。

・3つのポイント-この3点を満たすものが「イノベーション」である!
1.それをやったことによって、ブレイクスルーとなり、新しいビジネスとか働き方、あるいは生活などが、「できるようになった」「できるようになる可能性が拓けた」
2.その時だけではなく、ある程度将来にわたって、また、一般的にも適用できるものである
3.その変化は、広い意味で「良い変化」である

・イノベーションのわかりやすい具体例
例えば、ファクシミリが作られ、一般に使われるようになったことはイノベーションと言える。紙に印刷した文書を、物理的に通信したい相手に届ける必要がなくなったことによって、到達時間は100倍も1000倍も速くなった。これはファクシミリの機械の製造会社は機械を販売することで利益が得られ、通信をする電話会社は通信料金から利益が得られ、将来にわたって持続可能である。

・じゃあ逆にイノベーションではないもの
例えば、大富豪が世界の恵まれない人々を救うために10兆円を投じて食料やワクチンの支援をして、何千万人もの人々の命が救われました、とすると、この成果も影響も極めて大きなものではあるが、イノベーションとは呼べない。
  
・偉い人は何と言っているのか 

イノベーションは、あのシュンペーターが初めて定義したらしい。

それによると、イノベーションとは「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」である

イノベーションは5つのタイプに分けられるということで、以下の形を挙げています。
・新しい財貨すなわち消費者の間でまだ知られていない財貨、あるいは新しい品質の財貨の生産
・新しい生産方法の導入
・新しい販路の開拓
・原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
・新しい組織の実現

100年以上前の定義であり、コンピューターもなければグローバリゼーションの流れもない頃の定義ですから、そのまま考えていいというわけではないですが、基本的な考え方は変わるものではないと思います。


というわけで、ここから私は、社会に価値を生み出すにはどうしたらいいのかを考える足がかりを得たと思います。死の海に放り投げられ続けているアイデアをどうするか、ちゃんと考えていくようにしたいと思います。