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2015年2月1日日曜日

確定決算主義の意義と問題点とは

また大学の課題で出たやつについて考えていきます。

日本の法人税法で採用されている確定決算主義とは何か。

確定決算主義とは、株主総会で承認された財務会計上の損益計算書が示す利益に基づき、差異項目(「益金参入項目」「益金不算入項目」「損金算入項目」「損金不算入項目」)を加減したものを課税所得とする方法。

まあ、理想的には財務会計上の決算と課税所得計算上の数字は差異を除けば一致していないとおかしいということと、基本的に節税のために財務会計上の数字が低めに出るのであれば投資家にとっては結果的にコンサバな数字になるのでいいんじゃないの、という発想じゃないでしょうか。

実態としては、世の中のほとんどの会社は株式公開をしているわけでもなければ、そもそも不特定多数の投資家がいること自体が珍しいわけで(だいたい定款とかに誰かに株式を譲渡するときは株主総会とか役員の過半数とかの承認がいるようなことが書いてあるか、株主が1名や親族のみ)、投資家向けの財務会計上の決算ということ自体を意識していない経営者が大半、というのが実情なのではないでしょうか。

この確定決算主義を採用しているのが日本のほかにドイツ、フランス、ベルギー、ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルなどであると。

一方で財務会計とは別個に課税所得計算を行うのがイギリス、デンマーク、オランダ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど。

金融大国であるアメリカ・イギリス・オランダが採用していないというのは、なんとなくやはり財務会計への意識の高さの違いなのかなあ、という感じはしますね。

確定決算主義のメリットは、単純に、これは簡便法にあたるやり方であって企業の税務負担が減るということが言えるかと思いますが、今日日、個別計算したところで大した手間でもないような気もします。オービックとか弥生とかがすぐ対応してくるでしょう。

確定決算主義の意義は、財務会計上の財務諸表という、会社として考えている収益、費用を元にしたものが、基本的に会計原則に従っている限りは認められるということで、ある程度の柔軟性を持っているという部分にあると解釈していいのかな?ちょっと若干まだ腑に落ちていないですが。

しかし、国税庁とか都道府県税事務所とかが検査する場合は、その企業の考え方、財務会計でどう処理されたかに従う義務はなく、別個に課税所得を算定することが可能。これって、課税庁側に悪意があった場合は、企業いじめとかが可能になる仕組みなんじゃないの?大丈夫なんですかね?

確定決算主義の問題点として、企業は税金を減らすために損金を大きくして益金を減らそうとするが、それが財務会計にまで反映されてしまうので、財務会計の主旨を歪めてしまい、利害関係者への適切な情報提供ができないということがありますと。

たぶんこの辺の絡みで、脱税が怖いために粉飾になってしまったり、粉飾の指摘を避けるために脱税になってしまったりと非常にもどかしい状況が生まれてくるんでしょう。

個人的には前述の通り、確定決算主義の方が結果的にコンサバな数字になるんだから問題は少ないんじゃないかなあという気はします。ごく一部の公開会社(かつ1名や親族のみがオーナーではない会社)のそのまた一部に対してしかメリット性がないようなやり方にわざわざ変更することは無いんじゃないでしょうか。



2015年1月5日月曜日

棚卸評価損が計上されるのはどんな場合か考える

大学の会計系の課題の2つ目。棚卸評価損が計上されるケースを考えて示しなさいと。


法人税法68条には以下のように書いてある。


(資産の評価損の計上ができる事実)
第68条 法第33条第2項(特定の事実が生じた場合の資産の評価損の損金算入)に規定する政令で定める事実は、物損等の事実(次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める事実であつて、当該事実が生じたことにより当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなつたものをいう。)及び法的整理の事実(更生手続における評定が行われることに準ずる特別の事実をいう。)とする。


一 棚卸資産 次に掲げる事実


イ 当該資産が災害により著しく損傷したこと。


ロ 当該資産が著しく陳腐化したこと。


ハ イ又はロに準ずる特別の事実


二 有価証券 次に掲げる事実


イ 第119条の13第1号から第3号まで(売買目的有価証券の時価評価金額)に掲げる有価証券(第119条の2第2項第2号(有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法)に掲げる株式又は出資に該当するものを除く。)の価額が著しく低下したこと。


ロ イに規定する有価証券以外の有価証券について、その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したこと。


ハ ロに準ずる特別の事実


三 固定資産 次に掲げる事実


イ 当該資産が災害により著しく損傷したこと。


ロ 当該資産が1年以上にわたり遊休状態にあること。


ハ 当該資産がその本来の用途に使用することができないため他の用途に使用されたこと。


ニ 当該資産の所在する場所の状況が著しく変化したこと。


ホ イからニまでに準ずる特別の事実


四 繰延資産(第14条第1項第6号(繰延資産の範囲)に掲げるもののうち他の者の有する固定資産を利用するために支出されたものに限る。) 次に掲げる事実


イ その繰延資産となる費用の支出の対象となつた固定資産につき前号イからニまでに掲げる事実が生じたこと。


ロ イに準ずる特別の事実


2 内国法人の有する資産について法第33条第2項に規定する政令で定める事実が生じ、かつ、当該内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額する場合において、当該内国法人が当該評価換えをする事業年度につき同条第4項の規定の適用を受けるとき(当該事実が生じた日後に当該適用に係る次条第2項各号に定める評定が行われるときに限る。)は、当該評価換えについては、法第33条第2項の規定は、適用しない。この場合において、当該資産(同条第4項に規定する資産に該当しないものに限る。)は、同条第4項に規定する資産とみなす。


カタカナのニと漢数字の二がややこしいわ。


要は、棚卸資産については、
・災害による損傷
・陳腐化による価値の低下
・その他特別なこと
の3つの理由があると。


んで、具体的には「陳腐化」とかその「特別なこと」とは何かというと、国税庁通達により、


陳腐化とは
・季節商品の売れ残りで、過去の実績とかからして同じ値段では二度と売れないのが明らかな場合
・明らかに優れた新製品が出たせいで同じ値段では売れなくなった場合
などであると。


「特別なこと」というのは、
・破損、型崩れ、たなざらし、品質変化とか
であるということが書いてある。


逆に計上できないケースとして、
・物価変動
・過剰生産
・建値の変更
といった事実だけでは、評価損は計上できないと。


ここから具体例を考えればいいので、これはイージーじゃないですかね。


・洪水で衣類が水没してしまった
・冬の新作として入荷した衣類が、シーズンが終わって売れ残ってしまった
・ゲーム機やゲームソフトで、メーカーが希望小売価格を大幅に下げたものが発売された
・長く陳列していたものが紫外線で劣化してしまった


みたいなことですよね。これは問題なし。実務でも忘れないようにしないと。



先入先出法と後入先出法の長所と短所?

大学の会計系の課題で出たやつの一つなので考えてみます。


正直言って、会計では先入先出法(FIFO)とか後入先出法(LIFO)ってオペレーションの都合上でやるもんであって、なるべくやらないほうがいいもんだとしか思ってなかったので真面目に考えたことがなかったんですね。


当然のごとくどんな状況でも移動平均法でやるべきだと思っていたんですが、これは自分が元個人投機家とかヘッジファンドのコントローラーとして仕事をやってたことも多分に影響しているんでしょう。証券税制とかファンドの会計では必ず移動平均でやるので。(ファンドではフロント側では中長期投資分とデイトレードなどのスイングトレードを分けて計算したりはしますが、バック側では同一銘柄であれば必ず移動平均です)


大学の講義で、原油とか市場価格が大きく変動するものを扱う商社とかが後入先出法を使うという話をしていたのを聞いて、(あれ?意外と難しい問題なのか?)と今更になって思った自分がいます。


まず、先入先出法の長所と短所


Wikipediaにはこう書いてあります。


長所
1.原価配分の仮定と物の流れが一致すること
2.その結果、物価変動時(価格変動時)にも、期末棚卸資産の貸借対照表価額が時価に近似すること


短所
1.物価変動時(価格変動時)には、期末棚卸資産の名目資本を維持するだけで、期首棚卸資産の保有損益(保有利得)が損益計算(分配可能利益)に混入してしまうこと
2.その結果、同一物価水準による費用収益の対応ができなくなること


うーん?ソースが無いのでどこかの受け売りなのか単なる誰かの考えなのかわからないけども、合ってるのかこれ?


原価配分の仮定と物の流れって先入先出法にしたからといって一致しないよね?一致させたかったら個別法にするしかない。現場でFIFOをやっている場合において、簡易的に個別法に近い結果をとることができるという程度に考えておいたほうがいいような気がする。


期末の評価額が時価に近似するとしているけれども、要は、マーケットで合理的な価格形成がされている商品で、早いサイクルで商品が回転することを前提とした場合においてのみ、いちいち原価と時価を比較して含み損益を考えなくてもある程度成立する、ということなんじゃないのかなと思います。


なんだか消化不良なので、手元の日商簿記1級のテキストを見てみる。うん、長所短所については何も書かれていない。まあ試験には出ないだろうしなあ。そもそも2級の範囲なのかも。


しかし、事務手続上の煩雑さを回避するために簡便な方法をとることがある的なことが書いてあるので、要は、移動平均法を使って時価で洗い替えをして含み損益を出すよりも、先入先出法を使えば、いちいち時価で洗い替えはしなくてもある程度正しいのでラク、ということなんでしょうね。


しかし、費用収益対応の原則からすると、仕入れた時の物価と販売した時の物価が異なっている場合に、その物価の差があたかも販売活動による損益であるかのようになって混入してしまうと。要はハイパーインフレのときのジンバブエで100ドルで仕入れたものが1000ドルで売れたからと言って、粗利率90%と言っていいのかって話ですな。結局は洗い替えしないといけなくなる。後入先出法よりも比較的それが起こりやすいということかと。


とはいえ、本当の先入先出法のメリットは、結局のところ、常識的な商品の流れに感覚的に沿っているのでイメージしやすい、ということが最大のものなんじゃないかと思います。


次に後入先出法の長所と短所。Wikipediaには以下のように書いてあります。


長所


後入先出法の長所として、以下の事項が挙げられる。
物価変動時(価格変動時)でも、期首棚卸資産に食い込んだ払出が行われない限り、期末棚卸資産の実体資本維持が可能であり、期首棚卸資産の保有損益(保有利得)が損益計算(分配可能利益)から排除される。
その結果、比較的同一物価水準による費用収益の対応が可能となる。


短所


後入先出法の短所は次のとおり。
原価配分の仮定と物の流れが一致しない。
その結果、物価変動時(価格変動時)には、期末棚卸資産の貸借対照表価額が時価とは乖離する。


先入先出法についてよく考えてみたあとだと、なんとなくわかる気がする。要は物価とか相場の変動の影響は仕入れ販売の活動による損益ではないから、とりあえず排除しておいて後でまとめて保有損益として処理したほうが実態に近いだろうということなんですね。そう考えれば、平均単価法など他の方法と比べても営業の実態を分析しやすい方法ではあるのかも。


しかし、期首棚卸資産に食い込まない限り、という点を考えるとこれはかなり厄介なんじゃないかと。


日商簿記1級のテキストには、後入先出法はさらに2つの方法に分けられると書かれていて、
・継続的後入先出法
・期間的後入先出法
があるとのこと。


後者の期間的後入先出法では、ある一定期間内だけ後入先出法を適用するということで、いつまでも古い単価が残るというデメリットは少ないし、期首棚卸資産に食い込むことはない。


前者の継続的後入先出法の場合が、期首棚卸資産に食い込むことがあるので大変そう。


でも結局、後入先出法がかつて広く採用されていたのは、インフレ時に利益を低く計上できるため節税できたという点が最大のメリットであって、会計上の合理性よりも圧倒的に、その税制の穴の部分が理由だったんじゃないですかね?


2009年に法人税法上は後入先出法は廃止されて、その理由は、
・棚卸資産の価額が再調達価額と大幅に乖離する
・期首棚卸資産に食い込んだときに保有損益と期間損益がごっちゃになって継続性がおかしくなる
・国際会計基準で全然認められない
ということで、これがまさにデメリットのまとめとして相応しいんじゃないかと思います。


で、じゃあ後入先出法をやめてどうするかといえば、インフレ時の税法上で先入先出法よりは有利な平均単価法をとるか、個別法で無理やりLIFOにするかってところなんですかね?


とりあえずこんな感じの内容でまとめてみようと思います。