プーチン氏も安倍氏も領土問題解決、日露の平和条約締結へと前向きであるというメッセージを出している。とはいえこれまでと状況が変化しているわけでもなく、なかなか解決へ向かうとも考えにくい。日本の世論も、未だに政治家が4島一括返還から一歩でも譲歩する発言をすれば叩くという風潮にある。
個人的な意見として、北方領土問題の解決は2.5島とすれば双方とも問題が少なく、また将来的な展望が開けるのではないかと考えている。
2.5島返還論というのはあまり聞かないが、要するにこれは日本が譲歩できる最大限の範囲まで譲歩するということになり、恐らくロシア側としても決着可能であると認識するのではないかというラインになる。考え方としては択捉水道やレアメタル資源をロシア側にとって最低限譲れないラインであると考える3島~3.5島返還論にも通じるかと思う。
なぜこのようなことを言うかというと、具体的な返還手続きについて考えなければならない点と、その後に北方領土を有効活用出来なければ返還される意味が無いということ、そして早期決着は対中国戦略上で非常に重要であり、少なくとも速いスピードで進んでいて、日本はそのために譲歩する姿勢すらあるというところを国際社会に示す必要があるということがあるためだ。
具体的に想定するのは、知床岬と色丹島を結ぶ線のやや北側で国後島を分割し、根室海峡を完全に日本側に置く。このことは国防上譲れないラインであるという主張はわかりやすいはずだ。
この場合、国後島のメンデレーエフ空港およびほとんどのロシア人が居住しているユジノクリリスク(古釜布)が日本側になるが、居住者は日本から特別居住許可を得てそのまま住むことももちろん可能だが、島内で移転することでも対応できるということが返還手続き上のメリットになる。メンデレーエフ空港はロシアとしては負担になっており、日本側にあったほうが遥かに需要が増え、維持しやすい。
国後島上に国境が出来、両側の国境付近に集落を形成し、しかも近くに空港があるとなれば経済交流のためにはとても良い状態が出来上がり、北方領土をわざわざ返還させる意味が出てくる。ここを経済特区とし、また地理的にはハブ空港をつくるというような展望も考えられる。そうなればロシア側としても経済的なメリットがあるため、ロシア側にとってもいい話になるのではないかと考えている。
急ぐ余り2島返還で決着となるメリットが少なすぎるし、単純に歩み寄りで3島や面積2分論で決着などという主張には意味があるとは思えない。
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