参照記事
ネットカフェ? 米テキサス州で今年秋に”紙書籍フリー”な電子図書館「BiblioTech」がオープン予定
http://hon.jp/news/1.0/0/4055/
元記事
Bexar set to turn the page on idea of books in libraries
http://www.mysanantonio.com/news/local_news/article/Bexar-set-to-turn-the-page-on-idea-of-books-in-4184940.php
端末を各座席に並べて電子書籍にアクセス出来るという図書館で、今秋オープンするという。
普通に考えれば、技術的にはこのようなサービスを建物を建ててハードで行う必要などないはずで、なぜこのようなまどろっこしいことをするのかという疑問がある。ここには書籍が電子化へ向かうこの時代のジレンマがあるのだと思う。
図書館というのはそもそも何だろう、どのような役割があるのだろう、というところから考えなくてはならない。図書館は文化や知識を蓄積し、またそれを大衆に開放することによって知識、教養、娯楽、文化を供給し、社会を豊かにする役割を持っていると言えるだろう。
それはしかし、少なからず著作者や出版社が作ったものを回し読みすることで費用対効果を高めているということから成立している面がある。とはいえ多数の図書館が需要の低い書籍の潜在需要を引き出して出版を支えている面も少なからずあるとも言える。
これが電子書籍の時代になるとどうなるか。発行、増刷、流通といったところにかかる限界費用がほぼゼロになり、ユーザー側としても技術的に複製するためのコストがゼロに限りなく近づく。紙の書籍が持っていたコピーとしての価値、モビリティの価値すらもゼロに落としていってしまう。
図書館は書籍を購入することで作り手に一応の利益をもたらしてきた。しかし電子図書館の場合では閲覧数がどんなに増えようとも購入点数を増やす必要もないし、いつでも読めるようであれば消費者自身が購入する必要がなくなってしまう。これまでの図書館の買い切りでは作り手の利益を守れず、書籍文化を破壊してしまうことになる。しかし、これまで図書館が担ってきた役割をどこかでカバーする必要がある。
その答えとなりうる一つが端末据え置き型の電子図書館ということになるだろうし、日本で言えばマンガ喫茶が電子図書館として蔵書を持つような形態を考えればわかりやすいかも知れない。著作者、製作者の利益を守るためには、提供する価値と受け取る金銭がバランスしないといけないので、何らかの形でユーザーを絞ることが必要、ということになる。そして端末数や稼働時間に応じて権利者に使用料を分配するといったやり方になるのではないだろうか。この方法の良いところは、出版社や著作者として受け入れやすいというところにあり、これは非常に重要なことだ。
もう一つの有力な方法論がyomel.jp やau のブックパスなどの定額読み放題サービスで、内容が充実すればまさにオンラインの電子図書館として機能してくる可能性を秘めている。しかし今のところ大手出版社や著作者にとっては受け入れがたいのではないか。その点が徐々に変わってくるのかどうかを見守って行きたいところだ。
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