公明党は次の消費税の増税をする際には軽減税率を導入するように強く主張している。自民党も民主党も最終的には軽減税率を導入する方向へと向かっている。
しかし、軽減税率は、「方法論として」適切なのか、もっと良い方法はないのか、もっと害のない方法はないのか、もっと根本的に低所得者対策として適切な税負担の軽減の方法はないのか、もっとコストがかからない方法はないのか、改めてよく考えたほうがいい。
新聞社は自身の商売に直結するため軽減税率の早期導入を主張する場合が多いが、一般の我々はそうした新聞社の主張を見た時にはそれはポジショントークであるということを忘れてはいけない。
軽減税率を導入する場合、新聞社や出版社、新聞販売、書籍販売のような単一商品を多く扱う商売においては企業としては仕組みが複雑になることによる負担はかなり少ないと言える。これが流通業、小売業などになるとその複雑さによって運用コストや税務コストがかかることになり、企業収益を圧迫する要因になりかねない。特に中小小売業などの場合は品目別の消費税に対応しきれるインフラがない場合すらある。
また、品目別にいたずらに税率をいじることは基本的に価値尺度としての貨幣を利用している市場経済を歪める行為であって、経済全体にとってはマイナスになるだろうということも指摘しなくてはならない。
「給付付き税額控除」との組み合わせが検討されているが、低所得者対策であるというなら「給付付き税額控除」だけで対応するほうがよほど正しい方法論のはずだ。品目別軽減税率では所得などに関係なく軽減されるのだから、低所得者対策としては余計なコストになる。
欧米では当たり前だからと飛びつく前に、本当にそれが正しい方法なのか考えるべきなのだ。欧米の社会システムが日本のものよりいいのか、あの格差社会を見て本当にそう思えるのか、冷静になってみたらどうだろう。
参照ニュース
軽減税率、8%時の導入改めて主張 公明・斉藤氏
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/623192/
【主張】軽減税率 8%からの導入決断せよ
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/620177/
消費税の軽減税率、与党協議本格化 対象範囲の取りまとめ急務
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/621648/