国家公務員の退職手当減額を受けて全国の地方公務員も退職金の減額がされてきており、その中でいくつかの自治体では3月末退職予定の公務員の退職前倒しが相次いでいるという。
だいたいどの自治体でも退職金が150万円の減額で、2月~3月以降の退職者に適用されるという。そのため、3月末退職予定だった場合は1ヶ月~2ヶ月前倒しして退職しないとその分の給料よりも減額される退職金の方が大きいため、働いているのにも関わらず逆に損をするということになってしまう。給料にもよるが少なくない金額の減額になるので、当然、前倒しで退職しようという話になる。
これでは制度的におかしいのは当然だ。東京都などでは定年退職時期を3月末に限定し、それ以外は自己都合退職とするような制度になっており、前倒し退職は起きていない。これも最善とは言い難いにしても円滑な行政のために必要な、とてもまともな措置だ。逆にこの問題が起きてしまった自治体については間違いなく行政上の失態があるということだ。
兵庫県小野市では前倒し退職者に対してこともあろうに蓬莱市長が先頭に立って叩いている。とんでもないことだ。教員の前倒し退職が多い埼玉県の問題については下村文部科学大臣は「許されない」などと発言している。
仮にも行政ともあろうものが雇っている者に対してタダ働きを賞賛し応じないものを叩くようなことをしてはいけない。公的な発言でこのような個人を脅かすことをすることが許されるのであれば日本の政体の根本を疑う。この国は恐怖を持って人間をこき使う国であるのか。
一部の新聞、しかも5大紙の一角と呼ばれるような新聞でも感情論で駆け込み退職を叩くことをしている。こうした影響力を持つマス媒体が善良な市民を攻撃するのにいかなる根拠を持ってどのような考えのもとで行なっているのか、疑問に思わざるを得ない。
参照記事
【主張】教員の早期退職 やはり残ってほしかった
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/624860/
“駆け込み退職”に批判と擁護の声 定年直前に退職金減…その時どうする?
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/624768/
駆け込み退職、全国で相次ぐ 学級担任まで…「モラルの問題」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/624570/