昨年の日中貿易が3年ぶり前年割れ 尖閣で3・9%減
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/worldecon/620753/
記事では日本経済への影響の懸念がされている。もちろん影響はあるだろうが、日中関係の緊張のせいで貿易が落ち込んだ部分に限れば影響は非常に微小だろう。
日本の輸出品目別での中国のシェアはJFTCの資料によると、2011年で、
自動車 6.8%
鉄鋼 18.1%
半導体等電子部品 28.9%
自動車部品 22.1%
原動機 19.3%
プラスチック 29.2%
などとなっている。輸入品については、
衣類 79.8%
非鉄金属 12.2%
となっている。
鉄鋼、半導体、自動車部品など輸出品の減少の多くは単純に円高の影響によるものだと考えられており、また商品の性質からして日中関係の影響をさほど受けるものではない。為替相場の是正を受けて再び戻ってくるものと考えられる。輸出で影響を受けそうなのはほぼ自動車の最終製品の輸出の部分だけと言えそうだ。
自動車は金額も大きく影響があるが、中国向けだけではなく欧州向けもかなり減っており、どこまでが日中関係の影響でどこまでが円高の影響がは判然としない部分もある。
輸入品については衣料は中国が圧倒的だが、衣料品は最終製品であり輸入が減ったとしても国内産業への影響はほとんどないだろう。非鉄金属については希少金属以外については中国からの輸入がしにくくなっても影響は少ないし、希少金属については中国はむしろダブついていて日本の中国からの輸入が減って困っているといった状況にある。
全体として中国との関係悪化から貿易の面で日本経済を心配する必要はまず無いのではないかと思われる。問題とすべきは1にも2にも過度の円高の部分に尽きる。2012年は全体でかなり大きな貿易赤字となったが、円高が是正されることで大きく改善するのではないだろうか。