EPA、月内交渉入り 日・EU、首脳会談で宣言へ
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/634984/
とりあえず外務省の資料www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/pdfs/index-tokei.pdfから日本とEUの高関税品目貿易額上位を抜粋して眺めてみる。高関税とはここでは10%以上とされている。(金額は億円)
【輸出:高関税品目上位5品】
金額 / 関税率 / シェア / 品目
1/ 8,840 / 10.0% / 13.1% / 乗用自動車
2/ 133 / 14.0% / 0.2% / モニター・テレビ受像機器
3/ 115 / 15.8% / 0.2% / 貨物自動車
4/ 89 / 11.0% / 0.1% / 照明・ワイパー(自動車用)
5/ 41 / 13.0% / 0.1% / 輸送用自動車
【輸入:高関税品目上位5品】
金額 / 関税率 / シェア / 品目
1/ 977 / 13.0% / 1.8% / バッグ類
2/ 297 / 28.5% / 0.5% / 履物
3/ 233 / 17.4% / 0.4% / チーズ
4/ 147 / 10.9% / 0.3% / カーディガン・ベスト等メリヤス製品
5/ 127 / 10.0% / 0.2% / チョコレート等
こうして見ると日本からの輸出品で13.1%、8,840億円もある自動車に10%も関税がかかっているのが非常に大きいのがまず気になる。TPP交渉での米国もそうだが、EUにとってはやはりドイツなどの主要産業である自動車を保護したい意図は明確だが、これを切り崩すことが交渉における日本のミッションになるだろう。
そうなると、輸入関税に関してはこちらもほぼゼロにしていかなくてはならない。税率10%以上の高関税品全体で言うと、日本からの輸出のうち14%が高関税、EUからの輸入のうち6%が高関税となっている。また、輸出のうち関税がかかっている金額は70%、輸入のうち関税がかかっている金額は33%となっていて、基本的に日本からEUへの輸出のほうが関税は大きい現状となっている。
とはいえそれは日本が衣料品や食品などに多岐にわたる高関税を課していることが輸入額を抑えている面もあるのかもしれない。しかしこの際、輸入品が溢れかえって国内産業を圧迫する懸念をしてバッグや靴などに高関税を課し続けるよりも思い切って全面的に関税を撤廃していくことが望ましいように思う。それによって自動車の輸出、販売が伸びれば十二分にお釣りが来る話だ。
EUは経済規模では米国よりも大きいほどの市場であり、貿易額自体が広がり、また関税が低くなることは、対中国戦略としても大事になってくるだろう。
日本の市場に関してEUからのイメージは、自由化に及び腰、自由化が遅れている、といった感じではないだろうか。バッグや靴、食品などに高関税をかけるという行為は、高付加価値製品であれば関税をかけやすい、とりやすいといった発想から出ているように見え、自由経済、交流にとってあまり良いものではないと思える。
この輸入への高関税はどうせ日本の産業保護にはさほど寄与していないだろう。イメージではなく実際に関税で圧力をかけられている自動車をなんとか無税にするようにしてほしいと思う。