印紙税というものがあるのはほとんど社会人であれば誰でも知っているものだと思うが、その税収は近年、課税回避の技術の発達や消費、不動産取引の低迷などによって減ってきているが1兆円前後もあるという。(どうも適当な資料がパッと見つからなかったので申し訳ないがだいたい1兆円前後。)
自分も小売で領収証に印紙を貼ったり、家を買った時に契約書に印紙を貼ったりしたことがあるが、国民1人当たり年間1万円分近くも印紙が発行されているのだからやはり我々の生活にとって小さいものではない。
印紙税というのは売買契約や消費にかかる税金であるが、その方法をまとめると、
・財務省が収入印紙を発行して、それを事業者や契約者が購入して、契約書や領収書に貼り付ける
・税務署へ行って印紙税を納めて設置されている機械で文書に証明の印を押す
・税務署から承認を受けて、予め納付した金額だけ印を押せる変な機械を設置して納付印を押す
・税務署から予め認可を受けて別途文書の枚数を申告して納付する
といった方法がある。
中小の事業者は一番上の方法をとっていることがほとんどのはずだが、事業者にはまず、わずかとはいえ先に印紙を購入させられることがファイナンス上の負担であるし、その在庫を資産として管理したり、領収書にいちいち貼り付けるなどオペレーション上の負担にもなる。
大企業にとっても契約の種類、金額によって納付額が異なることも重なって税務上の負担も大きく、大変無駄な手間をかけさせて無用に経済を圧迫していると思われる。
これだけの煩雑な税であるが、意味合いとしてはほとんどの部分が消費税などの流通課税と重なっており、存在意義は無いものと考えて良いと思う。しかも実際のところ捕捉率にも疑問があったり印紙額のテーブルが歪であったりと、不公平感はある。
印紙税を廃止してしまえば、財務省、税務署の印紙税関係のオペレーションも全て撤廃できるし、小売業や飲食業を初め、不動産業などあらゆる分野で業務負担が減ることになる。印紙税の分を消費税に移せば、それだけで大きな経済効果があるはずだ。せっかく消費税増税と低所得者対策をセットで行おうとしているのだから、印紙税の廃止は今がチャンスだろう。
【参考記事】
揺れる消費増税 5→8% あと1年 2%成長視野も景気懸念
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/642549/
「アベノミクス」潰す消費増税 デフレ下では無理がある
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/641809/消費増税で還元セール禁止 小売「セールやりづらい、消費萎縮も」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/640451/