とりあえずそのまま上げて見ます。
日銀短観(先行指標)
(全国1万社程度、沖縄では約130社へのヒアリングしている)
 ・全国では消費税増税以降下がっているが、沖縄だけ全国を引き離して高い
 ・今後も20以上の高水準で推移すると予想している
 ・全国では、円安なのに輸出が伸びないことで、日本の競争力が落ちたのでは、との声がある(スマホや掃除機など、最近買い換えた人は海外製が多いのでは?)
 ・円安効果による輸出増は1年ほど経って出てくるので、これから反映されてくるはず
 ・全国的には、地方・産業・規模によって大きく上向きだったり横ばいだったりとバラツキがみられる
 ・沖縄に次いで、東海地区の景況が良く、沖縄に追い付いてくると見られる
 ・景況の良い地域の理由は2つあり、沖縄は双方とも全国トップ水準である
 ①人口・世帯数が増えている
 ②インバウンド(外国人旅行者の訪問)を捉えているかどうか
 ・北海道函館市の場合は、観光地で台湾からの旅行客などインバウンドはあるが、人口の減少が年-5%とかなり激しいため、企業が進出してこず、苦しい。北海道新幹線の開通が迫っているにも関わらず、駅前にはレンタカー1社、ホテル1社の進出しかない
 ・全国では、一旦は個人消費が伸びていたが、再び節約志向が頭をもたげてきている
GDP・消費者物価指数
 ・GDPはマイナスであったが、個人消費の変化をカバー出来ていない分やや低めに出ている面もある
 ・純粋な物価の上昇分は賃金が上昇しているが、消費税が上がった分、賃金が追い付いていないという実感がある
 ・デフレ下で年金支給額の調整を先送りしていた分が修正されて大幅に下がり、一時的にショックが来ている
 ・原油安は日本にとっては基本的に良いことなので、GDPの将来見通しは今回の予想より更に良くなるが、消費者物価指数は下がる(日銀目標のインフレターゲット2%達成はかなり困難になった)
 ・円安は輸出・観光以外にはコスト要因だが、沖縄には悪影響が少ない
アベノミクス「3本の矢」
 ・いよいよ第三の矢がスタート
 ・沖縄で行われた用途を限定しない一括交付金は、これから全国で行われていく
 ・沖縄では円安、原油安、人口増と状況が全てプラスに働いている
 ・円安はコスト増要因だが、急激な原油安がそれを打ち消している
市況
 ・株価は高水準だが、原油価格の影響でやや混乱している
 ・長期金利は最低水準で、借り入れをする二度と無いチャンス
沖縄関連統計
 ・百貨店やスーパーといった「苦戦業種」がずっと強いのが沖縄
 ・全国では節約志向で伸び悩んでいるコンビニが、沖縄では勢いがある
 ・観光客のうち10%程度である外国人旅行客が、6割以上の寄与度(いかにインバウンドが重要かよくわかる)
 ・一人あたりの観光消費額は横ばいで増えていない
 →単価を上げないと、今後の沖縄の成長はない
 →沖縄の観光の問題点は一人あたりの消費額が低いこと
 →沖縄の観光地は、「儲けの法則」に反している
 →→観光目的地のすぐ近くに駐車場を作ってはいけない(歩かせるため)
 →→京都などではかならず目的地から駐車場が1kmくらい離れている
 →→観光客は、「歩く」ことで、消費が増える
 →沖縄の全ての観光地は、まず「駐車場を1km離す」べきである
 →→沖縄では観光目的地のすぐ近くに物販店、飲食店があるが、間違い
 →→1km程度歩かせる道中に物販店、飲食店を置くのが鉄則
 →→「一見さん」を入れたければ、入り口に階段、段差は厳禁
 →→歩かせる道は、車線を広げてはいけない(向かいに移動しにくくなる)
 →このように、沖縄の観光エリアは根本的に作りなおすべきである
 →工夫により客単価が上がったり、滞在が1日伸びれば、滑走路1本増やすのと同じ効果があると考えるべき
 →アメリカ流テーマパークのように、各商業施設が囲い込みをしていたら、全体は落ち込んでいく。まちづくりで観光客と地元を巻き込むことを考えないといけない
 →沖縄は観光のイロハの部分から、何か違う。沖縄目線、沖縄の常識から離れて、観光目線での考え方を身につけないといけない
求人・雇用
 ・有効求人倍率は全国では1.1を超えてきている。沖縄も0.8に迫る(2年前は0.4)
 ・有効求人倍率は全国より低く、まだ1を割っているにも関わらず、企業は全国よりも圧倒的に、「人が足りない」と考えている。
 ・人が足りないのは全国に比べて非常に「定着が悪い」から
 ・卒業後就職しない人も全国の3倍いる
 ・従来の発想では企業は人が採れなくなってきている
 ・大企業にはお金がたまっていて、賃金を引き上げる余力はある
 ・今年は沖縄の賃金は歴史的な転換点になるかもしれないと考えている
 →イオンモール沖縄ライカムでは、3,000人の求人のため中部地区全戸にポスティングしていると思われる
 →中部地区の最低賃金水準は700~800円が多かったが、ライカムでは800~1,000円が最低水準となっている
 →同時期に募集する周囲の事業所は賃金を引き上げざるを得ない状況
 →岡山市(人口70万人)のイオンでは2,000人の採用後に地域の最低賃金水準がわずか数ヶ月で800円から900円へ100円も上昇してしまった。それより多い3,000人、しかも域外からの応募がない沖縄となるとどうなるか?
 →那覇市の飲食店から厨房スタッフがライカムへ高賃金を求めて移る例も
 →今夏オープンする那覇のハイアットでは、スタッフは東京並みの賃金水準にするとしている
 →沖縄の賃金は、今年を発端に急激に2~3割も上昇する可能性がある
 →地元企業はこの変化に対してどのように対応するか試されている
 →今までの、賃金が安いことを武器とした、「安売り戦略」は通用しない
物価
 ・日銀としては、毎年2%ずつ給料が上がる社会にすることを目指してきており、実際にその通りになりつつある
 ・給料が急に2~3割も上がる動きに、地元企業はついて来れるか、ついて行くかどうか
 ・マラソンで例えるなら、中小企業はペースを崩してリタイアするケースが出てくる
 ・各企業の経営者の判断力が問われる場面
 ・「この会社に勤めていれば、今年も来年も再来年も、①必ず給料が上がる ②仕事の中で自分自身が成長できるはずだ」と、労働者から思われない会社は、生産性が上がらずに負ける。片方ではなく両方ともが必要
 →「毎年、うちの会社は給料が上がる」と示す経営が出来るか
 →毎年生産性を上げていかなければ、利益が上がらず、賃金を上げられず、社員が辞める。社員が辞める会社は生産性を上げられない。沖縄は人が定着しないでこの悪循環に陥っていることが多い
 ・沖縄県の消費者物価指数は2%以上の上昇をしているが、直近では沖縄にとっての輸入品かつ必需品であるガソリンとコメの価格が下がっているため、痛みはなくなった
 ・いかに企業経営がレベルアップしていけるかがテーマになる
地方創生について
 ・人は基本的に生産性が高い≒給料が高いところへ移動していく
 ・よって、地方は放っておくと都市へ人口流出する
 ・都会へ人が移動するが、都会は子育て・教育等にかかる費用が高いなどが影響して出生率が低い→日本全体の人口減少という結果になっている
 ・かといって単なる地方分散をすれば、日本全体の生産性の低下に繋がる
 ・沖縄は、生産性が低いのに転入が増えているという奇妙な現象が起きている
 ・沖縄でしかできない商品・サービスで商売を確立しなければ、規模の大きな県外企業に負ける・起業家は儲かる県外へ逃げていくばかり
 ・「観光」と「第一次産業(特産品)」を磨いて、生産性を高めて、収益性を高める不断の努力が必要
 ・物流ハブとしての沖縄のポテンシャルは、まだ全く生かされていない
 →県内市場より全国、国内よりグローバルと、より広い市場を相手にするほど営業利益率が高まる
沖縄の成長分野
 ・沖縄には、物流ハブとしてのポテンシャルを活かすための、「コラボの構想力」
 ・「沖縄のため」ではなく、「日本のため」であるというストーリー
 →そもそも、今、沖縄物流ハブの恩恵を一番受けているのは北海道である
 ・「沖縄はポテンシャルが高いね」などと言われることが多いが、もうそんな事を言っている場合ではなく、実際に形にしないといけない。このままではアジア諸国に負ける
 ・全国で中小企業が独自に点々とアジアのバイヤー達と交渉している
 →個別の中小企業ではコストも品質も競争力が弱く、しかも大口需要にまるで対応できないという体たらく
 →共同してアジアのバイヤーと交渉し、物流ハブのある沖縄に工場を作っていくということをすれば、すぐ採算ラインに乗るのにもったいない!
 →沖縄は、モノが増えれば今は高い物流ハブのコストも安くなり競争力が上がる
 ・沖縄140万人だけの県内市場だけを相手にする前提でしか設備等をもたない県内事業者は、コストも品質も県外・海外では勝てない
 ・人の成長・能力向上に力を入れることで、賃金を上げることができる(この当たり前のことをしてこなかったのが沖縄)
 ・沖縄では起業家が多く、成長市場のためビジネスのアイディアも多い。もっとエンジェルも必要
 ・沖縄からのクラウドファンディングに全国から熱い視線が送られている
 →石垣島の事業で、わずか5日で1000万円が集まった。(ほとんど関東から)
 ・沖縄と愛知 なぜこんなに差がついたか
 →生産性を毎年上げていく努力の差
 →1年でコンマ数パーセントの差が毎年開いて、40年間で何割も差がついた
 ・観光業というのは、多くの業種にまたがるものだが、その全てを一気通貫で見ているデータはない。(横断的データベースがない。ビッグデータ分析ができない)
 →観光客の空白の時間に何を提供できるか?という分析ができていない
 →沖縄に来る観光客は、沖縄を半分も楽しんでいない
 →沖縄をとことん楽しんでもらう → お金になる
 →とことん楽しんでもらい、さらにもう1泊で滑走路増設以上の効果
質疑応答
Q: 国際通りの脇道を入って、平和通り、やちむん通りとシャッター街になってきているが、これから発展していくための、全国的な例などがあれば聞きたい
A: 先ほどの観光地のときと同様で、「歩く」ことが消費に繋がるという風に考える。沖縄にはいいコンテンツがたくさんある。
 国際通りは自由放任にした結果、現状のような、観光客が半分も楽しめないようなものになってしまっている。
 脇道は今、芸能人が歩くテレビ番組があるなど注目が高い。
 それぞれの道ごとにテーマを決め、ディープな世界が味わえるようにすると良い。
 それぞれがバラバラにやると価値が下がる。
 情熱を持ったコーディネーターと、行政の協力で実現してほしい。
 また、重要なことは、観光地ではあるが必ず地元の人も混ざるようにすること。
 観光地だから人が住まなくてもいいということではなく、学校も病院も作り、人も住むようにしなければ失敗する。(六本木ヒルズなどはあれだけ都心にあって賃料が高くても、わざわざ住居を作っているということを考えればよい)