柏野尊徳氏の「デザイン思考のポケット・ガイド」を読みながら。

「デザイン」が意味するのは、「現状をより良い状態に変えること」であると冒頭に書かれていて、今、デザインというものは有形無形のものへ対象を大幅に拡大しているといいます。
アイデアは必要ですが、形にできなければ意味が無い。そこで「デザイン」の登場であると。「問題解決」や、「新たな活動」にはデザインの手法が有用であるとしています。
「デザイン思考」は、イノベーション技法であり、イノベーションとは、「創造的な方法で社会に新たな価値を提供すること」と一言で簡潔に述べられています。イノベーションとは何かについてあれこれと考えていた自分にとっては、まさに簡潔かつ的確であると思います。
デザイン思考は、5つのステップがあるとしています。
1 深いニーズを知る
 本質的な欲求が何なのかを知るために、かなりしっかり調べましょう、ということ。
 凡庸な中小企業なんかにいる人にはよくわかると思いますが、実際のビジネスの現場では非常に軽視されがちな点ですね。
2 問題点とゴールを決める
 ニーズの、どの部分を解決するのかを明確に定めて、何をすればそれが解決するのか、その因果関係がちゃんとしているゴールを設定しましょうということ。
 教育水準を高めたい、というニーズがあったとして、奨学金を出しましょう、では因果関係がちゃんとしていないと。教育水準が低い地域には能力の高い教師が行きたがらない、という部分を掴んだ上で、どの対策が適切なのかを考えられないといけない。難しいような感じがしますが、ここが大事だという認識が薄い場合に、どれだけここで粘れるか?
3 アイデアを生み出す
 アイデアは、たくさん作らないといけない。いつもと違うものを出さないといけない。
 ディズニーは、「空想部屋」「整理部屋」「批評部屋」の3つを用意してアイデアを創造した。
 アイデアを作ることと評価することを同時にやろうとすると混乱し、失敗する。
4 アイデアを形にする
 いつまでもアイデアをつくることばかりしていては、何もわからない。アイデアは形になるまではその価値はわからない。試しに作ってみることが必要。
 形にすることで、共感が高まることと、よりよいアイデアを得られるというメリットがある。
 確かめたい部分だけに絞った試作をすることで、素早く回せる。どんどんチャレンジして失敗しよう。
5 アイデアを評価する
 1 再現性を検証、2 感情的な視点から、納得感や重要性を検証
 再現性が低い場合は、使いやすいか、わかりやすいかを再度考える。
 納得感が低い場合は、メリットの明確さ、伝わっているかどうかを考える。
 予想外の使用法や、予想外の発言を受け入れて、期待する結果・答えを誘導しないように注意する
内容は以上です。
世の中に氾濫しているのは、何をしたいか、何を用いてするのか、どのようにするのか、という過程をすっ飛ばして、とりあえずやってみて何回かうまく行った人たちが偉そうにして、それ以外の人たちはとりあえずやってみることをとにかく繰り返す。もしくは諦めるというようなことだと思います。
しかも、評価・検証の過程もすっ飛ばしているので、うまく行った人たちはなぜうまく行ったのかわからずに、そのうち失敗して、うまく行かなかった人たちはなぜうまく行かなかったのかわからずに、運が悪かったとか努力が足りなかったとして次に行ってドツボにはまるという。
思いついたアイデアにしがみついたり、失敗しつつある行動を続けたりするのは、情報量が足りていない、思考が足りていない、ということ。準備と反省の過程を、実際の生産性があるものではないとして軽視するような経営者は、現場での感覚で行動が修正できなくなった瞬間から、ある意味失敗することが明らかなのだろうと思います。
もし、何年か経営者をやって、最近やる事なす事うまくいかない、というような状況があるのであれば、こうしたデザイン思考のようなものを受け入れて厳密にやってみるか、正直難しいのであれば、とりあえず現場に戻るしかないんじゃないでしょうか。