原材料が安価で、製造プロセスが現在の結晶シリコン太陽電池と全く違う「ペロブスカイト太陽電池」が注目されているというニュースがよく出ているようです。

日本発!新型太陽光電池「ペロブスカイト」が世界で話題に
http://nge.jp/2015/05/04/post-103792
現在主流の結晶シリコン太陽電池の10分の1程度の製造コストで作れる可能性があるということもあり、もしかすると将来的には太陽光発電の主流の一角を担う存在となるのかも知れません。が、これが我々の生活に何か革命をもたらすとは考えにくいです。
太陽光発電の現状は、20年前から太陽電池のコストは急激に下がり続けて、今は実は発電コストに占める太陽電池のコストの比率自体が4割未満まで下がってきています。つまり、どんなに太陽電池のコストが下がったとしても、残りの6割以上のコストは一切下がらないので、太陽電池に革命が起こっても太陽光発電にはせいぜい2~3割のコスト低下しか起きないというのが現状です。
その状況下で、結晶シリコン太陽電池では発電効率25%前後での開発競争が続いていて、もしもペロブスカイト太陽電池が発電効率15%を達成したとしても4割の開きがあります。これは、ペロブスカイト太陽電池では結晶シリコン太陽電池よりも、同じ出力の発電に1.6倍以上の面積が必要になるということを意味するわけで、結局はその分コストがかかるということに他ならないわけです。
ましてや自動車のような場合はインバーター部分のコストの方が圧倒的に高く、また、ソーラーカーのような場合は限られた表面積をどう活かすかという部分が肝要で、なかなか採用の余地はないと言えます。
インバーター技術と、設置技術とのコスト革命が別途起きた、その時には合わせ技一本でこの技術はとても意味が出てくることになります。それまでは、単に太陽電池という市場に一つの特性を持った新しい商品が登場したという以上の意味はないのではないでしょうか。そしてその時が来るまでには別の安価な太陽電池もあると思います。
競争の中で、より良いものが生まれてくるのは良いことです。これに触発されて、太陽光発電全体、発電システム全体のイノベーションに繋がれば、とても喜ばしいですね。