TechCrunchのこの記事の内容がやばいという話がLINEで回ってきました。

Facebook’s Messenger Bot Store could be the most important launch since the App Store

If Facebook announces the “Messenger Bot Store” at F8, as many predict, it would be arguably the most consequential event for the tech industry since Apple announced the App Store and iPhone SDK in March 2008.

Facebookのメッセンジャーに関することの何がやばいのかと思ったのですが、そう言われると気になります。

2015年8月からテストされている人工知能”M”の存在


FacebookではSiriやGoogle Now、あるいはMicrosoftのCortanaに対抗するようなパーソナルアシスタント「M」を開発していて、2015年8月から一部の米国ユーザーを対象にテストしているとのこと。


「M」の特徴は、全てクラウドで処理され、AIが対応しきれない部分についてはFacebook側の人員がサポートするというbotと人力のハイブリッドAIとなっている点のようです。

かなり複雑であったりややこしい入力に対してもスムーズに対応し、SiriやGoogle Nowと違って実際にやりたいことが完了するまできちんとアシストできることを強調しているようです。あるエンジニアがチューリングテストを行った結果、これは人力であるのではないかと主張しています。

Facebookの人工知能・M、実は「人力」? ” WIRED.jp

2015.11.14 SAT IMEGE BY FACEBOOK TEXT BY EMILY REYNOLDS TRANSLATION BY TAKU SATO WIRED NEWS (UK) フェイスブックは2015年8月、ベイエリアの一部ユーザーに対して、 人工知能(AI)を利用したパーソナルアシスタントサーヴィス「M」の 試験提供を始めた …

“Messenger Bot Store”の 一体何がやばいのか?


FacebookはMessengerをプラットフォームとしていろいろな企業がLineのような形で利用できるようにしようとしていて、アプリの提供や決済などの仕組みの整備を進めています。先行して成功しているLineや中国のWeChatの真似とも言えますが、世界中でのインストールベースはやはりFacebook Messengerが多く、特に米国での浸透度が高いのが強みでしょう。
LineやWeChatと同様、サービス事業者と消費者の直接的なコミュニケーションを実現するという部分はそうして達成しようとしています。消費者はチャットメッセージ1本で企業の担当者に直接コンタクトをとって質問や注文をすることができるわけです。
そんな状況の中、「Messenger Bot Store」がサービスをする事業者のビジネスにとって革命的な変化をもたらす可能性があると言うのです。どういうことなのでしょうか?

AppleがApp Storeをオープンしたときの100倍のユーザー数

記事には、Facebook Messengerの月間アクティブユーザー数はおよそ8億人で、AppleがApp StoreをオープンしたときのiPhoneのユーザー数が600万人だったことに比べると100倍もユーザーがいると書かれています。これは今までに世界中で販売されたiPhoneの総数を上回るとのこと。
だからといってそこでストアをオープンしたらうまくいくというわけではないでしょう。iOSやAndroidのアプリのようなものが全て提供できるわけではないんです。LineアプリがiOSアプリやAndroidアプリとそれほどバッティングしているかと考えれば、あまり関係ないような感じがします。
ところが、Facebookがもし「Bot Store」を発表したときが新しい時代の始まりの終わりだというのです。

会話インターフェースの進化がアプリを不要にする

ソフトバンクの対話型ロボットのPepperがヒットしていますが、これは業務用にしろ娯楽用にしろ、人を雇うより低コストで会話でコミュニケーションをとることができるというブレイクスルーを一部用途で達成したことによると思います。
そこで、LineにせよMessengerにせよ、消費者との距離が短くなったのはいいけれど、人が対応しなければならないとなるとコストが馬鹿にならない。しかし良いサービスの提供のためには人が対応しなければいけないのが現状です。
例えばコールセンターでは機械の音声案内である程度処理したり、ホームページにヘルプやFAQを掲載してどうしてもという場合にだけメールや電話をください、なるべくなら電話しないでくださいといった感じになっている。
そのあたりを、わかりやすくてきめ細かいサービスをiOSアプリやAndroidアプリ、あるいはWebアプリで提供して、よりチャットや電話の頻度を減らして、ごく一部のクリティカルな部分だけを人力で対応したいといったあたりが2016年現在のトレンドだと思うわけです。
ここで、高度な人工知能がチャットでほとんどのことを処理可能であれば、企業は専用アプリを作る必要がほぼなくなってしまうというわけです。また、これまで人的資源の配置ができずにチャットでの対応ができなかった企業も、きめ細かいサービスが可能になる可能性があります。企業は本当に人力で対応することが必要なごく一部の対応にだけ人員を割けばよいということになります。

米国ではオンラインアシスタントのベンチャーが活発

米国では有望な技術やサービスを持ったベンチャー企業の買収が盛んに行われていますが、SMSなどを利用したオンラインアシスタントのサービスを行う Magic や Operator (operator.comというドメインが凄いですね)が2015年にベンチャーキャピタルに10億円以上で買われているとのこと。

Union Square Ventures の Albert Wenger は、2015年から2016年にかけて“the Great Bot Rush” であると言っていて、その中で「人間の汎用APIは自然言語だ」と言っています。英語やスペイン語といった自然言語でプログラミングできるのが今botが追っている世界だというわけです。

botは新しい時代のアプリに他ならない


Messengerのbotは、対話型インターフェースという人間臭い部分に隠れた、見えないアプリであると。そして、Messagingという分野は実用からエンターテインメントまでを包括する「新しいプラットフォーム」ということです。以下のリンク先にわかりやすい図解がありますね。

Forget Apps, Now The Bots Take Over

As the number of mobile apps increases while the size of our mobile screens decreases, we’re reaching the limits of the mobile “OS + apps” paradigm. It’s getting harder to download, set up, manage and switch between so many apps on our mobile device. Most mobile users only use a handful of apps every day.

いずれにせよ2016年4月12日のイベントF8で何が発表されるか、本当にそこで新しい時代が始まってしまうのか、気になるところです。