依然として事業採算性に課題が残る沖縄鉄軌道

沖縄タイムスによると、内閣府は15日、2017年に行った沖縄の新たな公共交通システムに関する調査報告書を公表したとのこと。

沖縄の鉄道計画 開業後40年は赤字か | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス

【東京】内閣府は15日、2017年度に行った沖縄本島での鉄軌道など新たな公共交通システムの導入に関する調査報告書を公表した。糸満-名護間については、鉄軌道とトラムトレイン(高規格の路面電車)ともに開業後40年間の累積損益収支は赤字となり、依然として事業採算性に課題が残った。 …

記事によれば2016年の調査報告に続いて依然として事業採算性に課題が残ったとのことです。そりゃ状況が1年で大して変わっていないですからそうでしょうって感じなんですが。

早速内閣府のホームページを見に行ったんですが、新着情報のところには8月15日は何もありません。
内容からするとおそらくこれのことですかね?
http://www8.cao.go.jp/okinawa/6/67_29kisochosa.html

内閣府は報告書やWebページに日付が入っていないのが普通なんでしょうか。入れたほうがいいと思いますけどね。

那覇空港~沖縄市間だけであれば事業採算性はクリア

記事および内閣府の報告書によれば、さまざまなコスト削減努力を積み上げても費用対便益は鉄道であれば0.66、最も費用対便益の高いトラムトレインの方式でも0.87と、事業化目安となる1を下回るため難しいようですが、沖縄県の2010年の報告書では名護~糸満市間の全体では費用対便益が0.64となるものの、那覇空港から沖縄市までの区間の費用対便益は1.25と事業化可能です。

上の図の鉄道ルートの中で、ざっくり下半分ほどが中南部都市圏で、上半分ほどが北部(やんばる)です。つまり下半分は人口100万人を擁する都市であり、上半分は人口10万人ほどの地域です。その時点で費用対効果が大きく異なるのは当然ですが、しかも上の黄色い線の部分は山岳部を含み、コストがかさむ部分です。

つまりは人口密度が低く距離が遠い北部まで無理に伸ばそうとするから事業採算性が合わないのであって、沖縄中南部都市圏内の交通インフラとしては鉄軌道は成立します。まずは那覇から沖縄市、あるいはうるま市までの中南部都市圏内での開通を早期に目指し、沖縄全体の経済発展を促進することが最終的には名護市や本部町など北部への鉄道整備への近道と言えます。

このままでは何も進みそうにありません。柔軟な考え方による対応をしてほしいものです。