いい人より悪い人の方が得する?
4月29日に放送されていた「林先生が驚く初耳学!」の中で、いい人より嫌な人の方が100万円年収が高いという内容が放送されていました。
当時、ネット上では非常に賛否両論巻き起こったようなのですが、要は人を出し抜くことができれば利益が得られるということです。なのでいい人と悪い人がいた場合、悪い人の方が平均的に年収が高くなるということになります。人を出し抜いて利益を得るというのは経済論としては至極当たり前のことであって、放っておけば世の中は悪い人ばかりになります。
ただし、極端な話、世の中の全員がいい人の場合と、全員が悪い人の場合で比較すると、全員が悪い人の場合の方が世の中全体としては損をするというのが私の考えです。なぜなら、いい人は自分の利益より全体の利益を考えて行動するとすれば、全体の利益の最大化を当然の選択として行動するため、世の中全体がいい人であればそれは自分の利益にも返ってくる。一方で世の中全体が悪い人であれば、各自が自己の利益の最大化を目指すために他者が損失を被っても構わないため、それは自分の損失になって返ってきます。
法律や政治の役割
世の中がどんどん悪い人ばかりになっていくのを止めるのが法律や政治などの役割だろうと思います。なるべく世の中全体が「いい人」に振れるようにすることで、社会全体の利益を目指していくのです。
その究極の姿はそれこそ社会主義になるわけですが、ほとんどの社会主義国家はごく一部のトップ層が「悪い人」になり莫大な利益を得るという姿で失敗してしまいます。「いい人」がトップを占める社会主義は、理論的にはうまくいきますが、現実には不可能に近いでしょう。
グローバル化と日本の没落
日本はなぜかしら「いい人」が多くうまくいっていた時期が多いのですが、これは「他者を出し抜く」ことを恥とする文化というか雰囲気が広く一般に漂っていたからであるような気がします。単一民族に近く、やたらと他者の目を気にする気質が、資本主義の仕組みの中でも社会主義的な国家を作り上げてきたのでしょう。グローバル化の中で、どんどん他国に出し抜かれていき、現在の没落があるように思います。
日本再興のための考え方としては、2つの考え方があると思います。1つは、全世界的に他者を出し抜くことをしない社会にすること。もう1つは、日本も他国を出し抜くことを恐れずにどんどん「悪い人」になってやっていくことです。前者は短期的には不可能であり、それを目指すような余裕はありません。とりあえずのところ、日本は強みを洗い出してそれを生かして他国をどんどん出し抜いていくしかないという感じですかね。よくわかりませんが。