中国人アスリートの選考に遺伝子検査

ニューズウィーク日本版2018年9月11号に掲載された内容で、2022年の北京冬季五輪に出場する中国代表選手の選考に遺伝子検査の結果を考慮することになるらしいということが書かれていました。

欧米では少なくとも、遺伝子検査と選手の成績にどんな関係があるのかは未だはっきりしておらず研究段階であり、どうも先走り感が否めない感じがしますし、逆に遺伝子検査のせいで優秀な選手を排除するということが起こり、結果が悪くなるような気がします。

中国が圧倒できないのは自由競争のなさのせいでは

これだけ圧倒的な人口を抱えていて、国力も伸びている中国が、オリンピックなどではすでに圧倒的な強さになっていてもおかしくないはずだと思っています。

しかし、中国には「都市戸籍」と「農村戸籍」という身分制度があり、ほとんどカースト制度のようなもので、「農村戸籍」の人間は職業選択の自由や居住場所の自由がありません。そして9億人と圧倒的多数を占めるのは「農村戸籍」です。

インドや南米では、スポーツの世界でスターになることを目指して貧困層からたくさんの人間がアスリートを目指します。そうした環境が無かったのが、中国が「人口の割に弱い」と思える理由なのではないでしょうか。

また、中国では競技大会の成績よりも「コーチの意見」の方が重視される風潮が強く、どうもトップレベルで競争に参加するまでの間口がまだまだ狭いようです。

効率と技術に溺れる中国

中国はせっかく13億の人口を抱えているにもかかわらず、スポーツの競技人口を広げて可能性を広げるのではなく、少数の「選ばれし人間」を選んで集中投資することがある程度うまく行っていることで、効率重視へと走っている感じがします。

今回の遺伝子検査にしても、効率を重視するために最新の技術を使い、いかに「選ばれし人間」を特定するかに奔走しており、せっかくの巨大な人口と経済を活かしている感じがしないのです。

効率と、科学技術への過信に溺れて、結果を出せないのではないでしょうか。